終活とは、自分らしく生きるための活動であり、あなたの思いや大事な財産を大切な人や後継者に引き継ぐことです。

理事長相澤氏が、2021年夏に小冊子を作りました。

これも一つの自分史です

理事長相澤氏が、2021年夏に小冊子を作りました。タイトルは『コロナ禍の今、カミュにふれる』です。

県立船橋高校、昭和36年(1961)卒業の栁沢(旧姓・郷)淑枝さんが、本を出版されました。カミュにふれるアルジェリア紀行です。そこで船高の同期生仲間で「ぜひ、多くの人に読んでもらえるよう応援しよう」ということになり、応援冊子を作ったそうです。

冊子にはこの本を読んでの感想のほか、読後にカミュに触れ、影響を受けた若い頃を振り返った相澤氏の自分史の一部でもあります。

以下、冊子内容の抜粋です。

高校1〜2年(1959−1960)の頃、大学生だった兄から唐突に「これを読め」とカミュの『異邦人』と『ペスト』を渡された。カミュは1957年、43歳でノーベル文学賞を受賞しているので、当時の文壇のスーパースターである。そして1960年に交通事故で亡くなっている。カミュ死去の衝撃的なニュースが世界を駆け巡る中、再びブームになっていた時期だったのかもしれない。

当時早稲田の大学生だった兄は真面目で勉強もでき、親にとっても自慢の息子。かたや弟の私は親にも反抗ばかりしている手のかかる存在。そんな弟だったが、兄はよく本を勧めてくれた。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』も兄に勧められて読んだ。高校時代、勉強はサボってばかりだが、本だけは読んでいた。(中略)

 高校2年、3年と学生運動にのめり込んだ私は、全共闘の高校生部隊に所属し、週末になると都内で行われるデモに参加していた。現役での大学受験に失敗し、浪人生活を始めていた6月15日。日米安保条約の改定に反対する学生デモが国会議事堂に突入し、東大生の樺美智子氏が亡くなったときも、近くにいた。そしてその日を境に、私は学生運動から身を引き受験勉強に力を入れるようになるが、数ヶ月後、大量の血を吐き、入院。肺結核のため長期入院を余儀なくされた。この時間を私は無駄とは思わない。入院中、さまざまな思索を重ねることができた。カミュも思春期に結核をわずらったことによって、死という過酷な現実に直面しているが、この時期の経験もきっとのちの人生に生きていることだろう。

 相澤氏は、2021年7月に新型コロナウイルス感染症に罹患し、約1ヶ月間の入院を余儀なくされました。幸い重症化せず退院に至りましたが、退院後、この本を再読し、今の時代に必要な本だと感じたと言います。

コロナ禍が長引いています。皆様もぜひ、読んでみてください。